日本の食卓を彩ってきた海の幸が大ピンチだ。ここ数年、サンマ、イカ、タコの漁獲量は減少の一途をたどり、価格は大暴騰。漁業関係者のみならず、消費者からも悲鳴が上がっている。中でもサンマの不漁は深刻だ。昨秋は気仙沼の「さんま祭り」が不漁で中止され、目黒の「さんま祭り」でも、冷凍サンマでお茶を濁したのは記憶に新しい。不漁の原因は、どこにあるのだろうか? 北海道さんま漁協の関係者は言う。「やはり、台湾や中国などが根こそぎ、乱獲することが原因だと思いますよ」
日本のサンマ漁獲量は、多少の波はあるものの、ここ数十年、平均20万トンを維持してきた。だが、ここ2〜3年、その量は半減。一方で、2000年代から漁獲量を増やしている台湾が、現在は約14万トンと、日本を抜いて漁獲量世界1位。12年から操業を始めた中国も日本に迫る勢いだ。「日本のサンマ漁は、漁期が8〜12月までと決められていますが、最近の台湾船は、公海上を大型船で2〜3か月も移動しながら獲る。ちょっと、えげつないですよね」(前同)
日本の漁船が200トン未満に制限されているのに対し、台湾船は1200トン級。この大きさは、大量のサンマを冷凍保存するためのもので、その冷凍サンマの多くは、中国に輸出されているのだという。「今は公海での操業は自由ですが、規制しないと、絶滅してしまうかと心配にもなりますね。資源は無限ではありませんから」(同)
そこで日本は、17年7月に行われた北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次会合で、サンマの乱獲防止に向けて国別漁獲枠の創設を提案したが、台湾、中国などの反対で合意には至らず。今年の会合でも再提案をする方針だが、支持される見通しは立っていない。
だが、その一方では、こんな話も。「サンマは広範囲を一定の経路で移動する回遊魚なんですが、近年、日本近海の海水温が上昇した影響で、サンマの回遊コースが変わったという説があるんです。サンマは冷たい水を好む習性がありますから。そう考えると、台湾や中国の乱獲でサンマの数が減ったとは言いきれません。日本近海に来なくなった分を、台湾や中国が沖合で獲っているだけかもしれないのに、日本が漁獲制限を他国に強いるのであれば、反対されても無理はない」(水産業界専門紙記者)
つまり、サンマの絶対的な数自体に大きな変化はないのではないかというのだ。
では、同様に漁獲量が激減し、価格が2倍に高騰しているイカの場合はどうか。「イカの不漁に関しては、中国の乱獲説が根強いです。日本近海のイカは、東シナ海で産卵、孵化した後、北海道付近まで北上して東シナ海に戻るルートで回遊するんですが、十数年前に中国漁船が北朝鮮水域で操業するようになって以降、日本と韓国の漁獲量が半分以下になっているのに対し、中国は1.5倍になって、その漁獲量は断トツの世界1位です。ちなみに、日本の食卓に並ぶイカの約3割は輸入品で、そのうちの約半分は中国からの輸入です」(全国紙経済部記者)
さらに、産卵場所である東シナ海にも問題が……。「周期的な自然現象により、2010年頃から東シナ海の海水温が低温期に入ったために、卵が孵化できなくなったことが原因という説もありますし、中国・長江の護岸工事などの影響で、東シナ海の生態系が変化したことが遠因とする声もある」(海洋調査団体研究員)
では、イカは絶滅の一途をたどっているのか?「イカはそんなにバカじゃありませんよ。何しろ、人類が誕生する1億年も前から地球に存在していたという説もあるくらいです。長らく日本近海で獲られまくりましたからね。種の保存のため、本能的に産卵場所を変えた可能性も否定できない」(科学雑誌ライター)
続く
以下ソース
https://taishu.jp/articles/-/59933?page=1
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